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●プロフィール
東京生まれ東京育ち。
中高一貫の私立男子校を卒業後、都内のとある自由な大学の経済学科に進学。
現在社会人一年目。
大学一年の秋にKanonと出会ったことが俺の人生を大きく変えた。
サッカーより野球好き。
ジャイアンツ愛!

●耳コピ・自作midi
ヘタレですがどうぞ。
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赤い羽見し夕暮れ

■第4回観鈴ちんといっしょin夕暮れの赤羽台
最近ペースが速くなってきてる感もあるこのコーナーも既に4回目です。
それではいつものように以下からどうぞ。↓





※ビジュアルノベル風にしてみました。
 Kanonネタバレ多大に含みます。
 お好きな音楽とともにご一読下さい。



 ひささかぶりに訪れた街の西側で、
 俺は遠い昔に忘れていた何かを思い起こそうとしていた。
 閑静な住宅街。
 ただ踏みしめるように歩く二人の足音だけが、
 時折吹く風の合間に聞こえる。

赤い羽見し夕暮れ_f0062317_2217244.jpg


 見事に咲き誇れる桜の木の下で、
 少女はいつもと変わらぬ笑みをその頬に湛えていた。
 その表情は眩しいくらいの花の色彩に負けず、
 吹く風もまた、少女のブロンドの長髪を乱すのに必死だった。
 少女はこちらを振り向くと小首を傾げながらおどけて見せる。

赤い羽見し夕暮れ_f0062317_22302913.jpg

 
 *「そんなところに上ったら危ないぞっ」
 観鈴「にはは、全然平気。こう見えても木登りは得意だから」

 興味の対象が移ると、すぐにそちらへ走っていってしまう。
 そんな姿は出会った頃から変わらない彼女だったが、
 今はそれにも増して、あるひとつの光景が脳裏をよぎった。

 既視感。
 高みに上る少女。
 その顔は逆光のせいか、詳しくは窺えない。

 ドクン…

 と、ひとつ心臓が鳴った。
 何かを予兆するかのようなその音に、
 俺は冷たい風がもたらすものとも思えない体の震えを覚えていた。

 *「はやく…、降りるんだ」
 観鈴「………」

 少女にかけた言葉には恐ろしいくらい覇気が欠けていた。
 何か尋常ならざるものを感じ取ったのか、素直に木から降りてくる。

 観鈴「大丈夫?」
 *「ああ」

 嘘だった。
 今見ているこの光景が、少女の姿が、
 俺の心を掻き乱しているのは確かだった。

 観鈴「来る途中に見晴らしのいい場所を見つけたんだ。
     一緒に行こう?」

 俺は返事の代わりに少女の手を軽く握り返した。

赤い羽見し夕暮れ_f0062317_22441442.jpg

 
 町外れの丘。
 見晴らしの良い丘。
 秘密基地。
 少女がよく登っていた大木。
 降る雪。
 白い雪。
 …。

 観鈴「うーん。気持ち良いねー!」

 少女の清清しい呼びかけが、
 断片的な記憶の再生を止めた。
 そんな少女を見遣りながらも、
 やはり俺の心は平静さを取り戻せないでいた。
 むしろ強まってくるいっぽうの胸の鼓動は、
 少女に俺の異変を伝えるに十分であった。

 
赤い羽見し夕暮れ_f0062317_22543180.jpg


 観鈴「わわっ!」
 
 意識が遠のく中、少女が必死に俺の体を抱きとめてくれる。
 視界はぼやけ、何やら幻影のようなものまで見える。


 …。
 ……。
 夢とも現とも思えぬ中、
 俺はようやく遠い冬の日の記憶を思い出していた。
 
 それは悲劇。
 転落する少女の体。
 凍えるように冷たい冬の大気の中、
 真っ白な雪の絨毯を、
 真っ赤に染め上げ流れ続ける、
 暖かい、暖かい温もり。

 どこからか聞こえてくる声。
 それは御伽噺によく有りがちな謎の声などではなく、
 想像に容易く、あの日の出来事を鮮明に思い起こさせる声。

 「思い出してくれて、ありがとう」

 俺は少しずつ意識を取り戻しながら、
 次第に明るくなる視界の中、
 あの日の少女の満面の笑みを瞼に描き続けていた。
 ……。
 …。


 観鈴「…あ!気が付いた!」
 *「………」

 見慣れた部屋の天井を眺める。
 そして、ふと隣にいる少女の姿を確認する。
 寄り添い、俺の身を案じてくれる少女。

 この少女と俺の幸せを案じてくれるもう一人の少女がいた。
 冬が終わり、春の訪れを感じる頃に、
 俺の記憶もようやく氷解したのだろうか。
 少女との新たな一歩は、
 俺の閉ざしていた過去との決着だった。


 ―終―

 

 
 
by shinkey2 | 2006-03-30 23:30 | 観鈴ちんといっしょ

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